魔王さま100分の1
「くれないのですか?」
「出す。出すが、支出には渋るのが私の職なんだ」

「そうですね、立派です。次の選挙にも一票入れます」

シルキスは褒めた。
で、確認しておく。

「ですが、魔王さま名目で十分な補助金が降りているのでは?」

他への流用は禁止のお金ですよと、
シルキスは言外で伝える。

「中央から減額受け入れ要請がきた」
「あちゃ」

町長さんとシルキスは、同時に天井を見た。

町長さんはいい人で、(勇者と分かった後の)シルキスにとても良くしてくれた。

身寄りなく、力仕事一本で生きていたシルキスにとっては恩人といってもいい。

同時に、
まあ町長さんがいなくても、

勇者の血の配分に変りはないのでどうでも生きてはいけただろう。

そんな関係なので、互いにあまり遠慮がない。

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