魔王さま100分の1
「一応、訊いておきます。山の猟師は?」

「それな。俺らもシルキスが来てから考えようって」

一斉に頷く、
おじさん、おばさん、兄ちゃん、姉ちゃん、そのほか大勢。

「……頼られてますねー」

シルキスは、クワを杖にして苦笑いした。

ここから見て、暴れ牛の数はでかいのが7頭。

小さいのは子牛だな、3頭。

山の猟師だと総出で雇わないと返り討ちの数。
考えるまでもなく、そんな予算はない。

かといって、自分ひとりでも無理。

そう決めかけたシルキスと、
向こうのボスらしい暴れ牛の一頭と目があう。

興奮しているのか、
魔族の特徴が浮き出る赤く血走った目。

ドクン。
シルキスの心臓が強く打った。
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