魔王さま100分の1

  
  
  

「というわけで、これがその時の戦利品です」

シルキスは、
魔王さまに牛の尻尾の数々を見せていた。

「なにが、『というわけ』だ。戦いについて少しも語ってないぞ」

「ちゃんと勝ちましたよ。なるべく軽傷で」

「ふんっ」

魔王さまは、ちょっと不機嫌だ。
どのあたりが不評だったのだろう?

戦う前、頬にキスしてもらったところだろうか?

「で、生け捕った牛はどうした?」
「はい。皆の共有財産ということに」

「おまえだけ、危険をかぶってそれか?」

もしかして、
僕だけ戦わされたことを怒っている?

「僕のものにしても、こっちに来ている間は世話できませんから」

「ふんっ」

怒ってるなぁ。
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