魔王さま100分の1
「どうぞ」

飴の話題をふった時点ですでに用意はしてある。

シルキスはポケットから素早く取り出し、ひとつ包みをといて差し出した。

鍋を抱えるので両手が使えない魔王さま。

自然に、あーんと口をあけて食べさてもらう。

「うん、甘い」

何を食べさせても満足の魔王さま。
今日も幸せ。

喜びの動作で、鍋の下で足がぷらぷらしているのは言わないでおこう。

「しかし、おまえはいろいろ持ち込んでくるなあ」

「お土産症で」

「人は戦う力をずいぶん落としたと思ったが、その分、豊かになったか?」

「魔王さまが、ここに入る前と比較してですか?」

「うむ」

シルキスは、次の質問をしていいかどうかを考える。

しろと、

町長さんや、町長さんにお金を下ろすところからは言われていたもののひとつ。

考えて、従う。

「魔王さまは、昔のことをどれだけ覚えているのですか?」

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