魔王さま100分の1
魔王さまは、そんなシルキスを深読みしないで答えてくれた。

「この身になった後のことは全て覚えている」

後に、ほとんど眠りの中だったがといつもの言葉。

「その前のことは?」

「断片的だな。覚えていることもあるし、忘れてしまったこともある」

本当に忘れてしまったことは、忘れたことも気づかないだろうがな……。

魔王さまは、ゆるく笑って付け加えた。

「知りたいのか?」

魔王さまは、飴でふくらんだ頬を見せてシルキスに訊く。

シルキスは迷った。

「なんで、そんな困った顔をする」

魔王さまは、またやわらかく笑った。
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