魔王さま100分の1
「魔王さまが寝ている間に広まったものです」

200年以上塔にこもっているのだ、

その間、魔王さまの知らないものがどんどん世に出ている。

「これは濡れてもよい服です。というか、濡れるための服です」

「魔力品か?」

「いいえ、素材の性質のみで作られたものです」

「ほほう」

魔王さまが興味をもった。

「着かたは勘で分かると思いますので、食事後に……」

と、言っている最中に、魔王さまはガガガガっとスイカにかぶりついて食べ散らしている。

「食べたぞ」

言う顔は、子供そのものだった。

「……それではお着替えを。先に手と口と顔を洗ってくださいね」
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