銀色メモリー
モノトーンシアター
 朝一緒に登校して、帰りも一緒で、途中の公園で少し話して家に帰る。
 それを毎日繰り返して、その私の横にはいつも明がいて、時々、明がとても大人に感じる時がある。

 すごく大切にしてもらっていると思う。
 自分が明の宝物の1つのように感じるほど、明は私を大切に接してくれた。
 まるで世界は私の周りを回っているように錯覚するぐらい。

 本気になっている男の子って怖いね。
 欲しいものを手に入れようとする力に、強引に引きずられるような気がする。
 そんな男の子の前で、対抗できる女の子なんているのだろうか?

 本気になっている人は、何もかも焼き尽くしてしまいそうな激しさがある。
 そんな人にはかなわない。
 あがらえない魅力を感じてしまう。

 今の明はそんな感じ。

 ふと、そんな気弱なことを考えてしまう・・・・・・。

 少しずつ、気持ちが明へと傾き出しているのが自分でもわかる。
 真っ直ぐに見つめる瞳に、目をそらすことも出来ない。
 絡め獲られ、逃げることも出来ない甘い茨。

 そのまま身を任せてしまいたくなるけれど、時々私に向ける明のあの表情が、踏みとどまさせる。

 すごく寂しげで、何か思い詰めているような表情。
 
 それをたずねても答えは返ってこない。
 それどころか、それを聞いた日の明には、ぎこちなさを感じてしまう。
 何故、明はそんな顔をするのだろうか?

 私はちゃんと明のこと、見てるよ。
 明はどこを見ているの?

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