銀色メモリー
 学校へ行っても、明のことが心配で授業に集中出来ない。
 4時限目が始まると、私はどうしても我慢できなくなってしまい、仮病を使ってまで早退してしまった。

 なんだか、すごくどきどきしてしまう。

 仮病を使って早退したことは初めてのことで、そんなことを出来てしまった自分にすごく驚いていた。
 そんなふうに色々と考えていたら、明に連絡することをすっかり忘れて、明の家のドアの前に立っていたのだ。

 明が寝ていたらどうしようかな?
 やっぱり、携帯で連絡した方がいいんだろうか?

 もうドアの前まで来ちゃってるんだし、寝てたら寝てたで、その時に考えればいいよね。
 そう考えて、取り合えずインターホンを押してみることに決める。

 チャイムが鳴って、しばらくするとドアの向こうで人の気配がして、ドアが開く。
 そして私は、すぐに回れ右をしたのだけれど、しっかりと腕を掴まれてしまって、逃げ出すことが出来なくなってしまった。

 ああ、神様って本当にいるんだろうか?
 いるなら、これはなんの悪戯なの?










「涼、離して・・・」

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