銀色メモリー
 明の部屋は、モノトーンをベースに、グリーンをポイントに置いたシックな部屋で、とても高校1年生の部屋には見えなかった。

「すごい・・・・」
「え? 何が?」

 明はパジャマの上にガウンを着ながら、私の方を不思議そうな顔で振り向く。

「ん? 部屋がきれいだなって思って」
「そうかな? 最近片付けをサボってたから、結構散らかってると思うけど?」
「違うよ。そういう意味じゃなくて、インテリアのコーディネートがいいなって言ったの」
「ああ」

 モノトーンだけだと暗く見えがちだけれども、柔らかいグリーンがアクセントとなっているから、圧迫感もなく、落ち着いた感じに見える。
 私の言葉の意味がわかった明は、笑いながらベットに座ったけれど、何だかぴりぴりした雰囲気があった。
 やっぱり、涼のこと、気にしてるのかな?

 時間と明の存在が、私の気持ちを癒してくれたのかもしれない・・・・。
 久しぶりに涼と会って、気まずさはあったけれど、胸は痛まなかった。
 それだけ、明は私の心の中に入り込んでいるのかもしれない。

 今だからこそ、明が大切な存在だとわかる。
 年下のくせに大人っぽくって、時々、わがままを言って困らせるけれど、私だけを大切に想ってくれていることがいつも伝わっていた。
 瞳で、仕草で、言葉で、私に真っ直ぐに気持ちを伝えてくれる明。

 そんな明がとても好きだと想う。

「あのね、明・・・・」
「美弥」
「うん?」

 私の言葉を遮るように名前を呼ばれ、私は明に会話を譲った。

 ベットにすわり、真剣な眼差しで私を見る明を、なんとなく怖いと感じ、腰がひけた。
 明の話す言葉に不安を感じる。

「な・・・に?」











「別れたい」

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