銀色メモリー
 あの後、送ってくれた時、明はパスケースを返してくれた。

 もちろん、涼の写真を取り上げられたけれど、変わりにパスケースには明の写真が入っていて、つい私は笑ってしまい、それに気付いた明は、少し顔を赤くして私から視線をそらす。

 私には、そんな明がとても可愛く見えた。

 さっきは平気な顔をして私を抱きしめたくせに、本当はけっこう純情なのかもしれない。
 やっぱりなんだかんだと言っても高校1年生なんだもんね。

 私を家まで送り届け、『また明日』と言って何度も、振り返りながら私に手を振って明は帰っていった。

 そんな明を見ているだけで、私の心は、ポウっと温かくなるようだった。

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