だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)
1.あの頃はわたしも子供だったわ
「ねぇ、清水。年賀状に干支って書いたことある?」

わたしの質問に、清水は苦笑する。

「年賀状なんて、もう、長い間書いていませんねぇ」

「ツマンナイ、情緒がないわっ!」

ツンと拗ねるわたしに、清水は頭を下げる。
パパよりさらに年上なのに、本当に出来たオトナだなってつくづく感心してしまう。

だって、わたしまだ、小学生なんだよ?

それなのに、清水は『アルプスの少女ハイジ』に出てくるセバスチャンのように、とてつもなく丁寧で親切なのだ。

「すみません、都さん。
でも、確かに小学生の頃は年賀状書いてましたねぇ」

「干支も、書いた?」

「ええ」

どうしても、どうしてもそれが聞きたかったの!
わたしは思わず笑顔になる。



< 1 / 253 >

この作品をシェア

pagetop