だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)
「むかしむかし……って言ったらまた、都ちゃんに突っ込まれるからやめておこう。
つい先日、この熊は」
言ってパパはわたしの隣にでんっと存在感を主張しながら横たわっている、熊のぬいぐるみを指差した。
「ガールフレンドと一緒にお散歩をしていました」
「オスだったのね、知らなかったわ」
口を開くと、パパがしっと、指を唇にあててウィンクを飛ばした。
「夜伽話は目を閉じて黙って聞くものだよ」
そうかしら?
反抗的に瞳を開くわたしの目の上に大きな手のひらを置く。
暗くなったので仕方がないから瞳を閉じた。
パパの手って、暖かい。
「そこに、ライオンさんがやってきていいました。
『腹が減った、どっちか食わせろ』」
……まぁ、なんて極端でスリリングな展開かしら。
ひねり、ゼロ?
「ガールフレンドは言います。
『是非、わたしを食べて』。
だから、この熊さんも言いました。
『是非、ぼくを食べて』
ライオンさんは困ってしまいます。きょろきょろきょろ。
『ああ、もう、面倒だからまとめて食ってやる~~』
二匹に向かって同時に牙と爪を向けてきます。
二匹は全く逆の方向に逃げ出しました。お陰で無事に逃げ切ることが出来ましたとさ。
おしまい』
……しーん。
「あれ、拍手は?」
「都ちゃんは夢の中で~す」
口を動かしたけれど、呂律がまわっているようにも思えない。
つい先日、この熊は」
言ってパパはわたしの隣にでんっと存在感を主張しながら横たわっている、熊のぬいぐるみを指差した。
「ガールフレンドと一緒にお散歩をしていました」
「オスだったのね、知らなかったわ」
口を開くと、パパがしっと、指を唇にあててウィンクを飛ばした。
「夜伽話は目を閉じて黙って聞くものだよ」
そうかしら?
反抗的に瞳を開くわたしの目の上に大きな手のひらを置く。
暗くなったので仕方がないから瞳を閉じた。
パパの手って、暖かい。
「そこに、ライオンさんがやってきていいました。
『腹が減った、どっちか食わせろ』」
……まぁ、なんて極端でスリリングな展開かしら。
ひねり、ゼロ?
「ガールフレンドは言います。
『是非、わたしを食べて』。
だから、この熊さんも言いました。
『是非、ぼくを食べて』
ライオンさんは困ってしまいます。きょろきょろきょろ。
『ああ、もう、面倒だからまとめて食ってやる~~』
二匹に向かって同時に牙と爪を向けてきます。
二匹は全く逆の方向に逃げ出しました。お陰で無事に逃げ切ることが出来ましたとさ。
おしまい』
……しーん。
「あれ、拍手は?」
「都ちゃんは夢の中で~す」
口を動かしたけれど、呂律がまわっているようにも思えない。