だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)
14.忌まわしい記憶を胸に
◇大雅side◇
紫馬さんからことの真相の写真を見せられた後、相合傘で冷やかされて教室から飛び出していくなんて……。そんなの都さんらしくない、と思う自分に驚いた。
らしくない、なんて思ったってそれが事実なんだから仕方がない。
今まで一度だって学校をサボったことのない彼女が、逃げ出したくなるほどのショックを受けた……。
あんな、子供だましの落書きなんかで。
どうしても、そう思ってしまう自分に、また腹が立つ。
その繰り返しにうんざりしてきた。
結局。
俺は何一つ彼女のことなんて分かってない。
紫馬さんは本当に飄々としていて、固定概念というものを持ち合わせていないのでこういうとき融通が利くというか、機転が早いというか。
事実を事実としてあっさり受け止める術を知っている。
羨ましくもある。
「エッグノッグです、どうぞ」
いつの間にか清水が、甘い香りの漂うコップを手にしていた。
ここに来るまで、人を殺そうと思ったとき以外包丁を握ったことなんて一度もない、という話が事実だとは思えなかった。
もっとも、これを作るのに包丁など無用ではあるが。
「ありがとう」
小川からのメールを見ていた俺は、ケータイを閉じてそれを受け取る。
紫馬さんからことの真相の写真を見せられた後、相合傘で冷やかされて教室から飛び出していくなんて……。そんなの都さんらしくない、と思う自分に驚いた。
らしくない、なんて思ったってそれが事実なんだから仕方がない。
今まで一度だって学校をサボったことのない彼女が、逃げ出したくなるほどのショックを受けた……。
あんな、子供だましの落書きなんかで。
どうしても、そう思ってしまう自分に、また腹が立つ。
その繰り返しにうんざりしてきた。
結局。
俺は何一つ彼女のことなんて分かってない。
紫馬さんは本当に飄々としていて、固定概念というものを持ち合わせていないのでこういうとき融通が利くというか、機転が早いというか。
事実を事実としてあっさり受け止める術を知っている。
羨ましくもある。
「エッグノッグです、どうぞ」
いつの間にか清水が、甘い香りの漂うコップを手にしていた。
ここに来るまで、人を殺そうと思ったとき以外包丁を握ったことなんて一度もない、という話が事実だとは思えなかった。
もっとも、これを作るのに包丁など無用ではあるが。
「ありがとう」
小川からのメールを見ていた俺は、ケータイを閉じてそれを受け取る。