だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)
恐怖が抑えられなくて、語尾が震えるわたしにようやく気づいたのか、清水が少しだけ手の力を緩める。

「そんな名前も分からない人を探し出そうとしていたんですか?
あてもなく?」

こくりと大きく頷いた。
ようやく、地面に足がつく。

「なんて無謀な」

呆れた声が上から降って来る。
わたしは、足元を見つめたまま唇を尖らせた。

「だから言いたくなかったのよ」

「どうしてですか?」

思いがけず優しい声に、変わってわたしは面食らう。

「都さん一人では無謀でも、私に相談してくだされば手がかりが見つかるかもしれませんよ?」

「それはっ」

顔をあげて、それは、嫌っ!
と、言おうとして、清水の優しい眼差しとぶつかった。


そっか。
心配だから怒るんだったっけ。

「頼りたくない?」

諦めてこくりと頷く。

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