だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)
16.ドキドキするのは恋ですか?
「ねぇ、清水。
寒くない?」
もうすぐお邸に着くという直前、耐えきれず乾いた雰囲気を破って口を開いた。
「いいえ……私は平気ですけど」
そう言って、隣に座る彼は躊躇いなくわたしの額に手を伸ばしてきた。
「風邪、ですか?」
さっきまで怒っていたのが嘘みたいに優しい声でそういうと、脱いでいた自分のコートでふわりとわたしを包(くる)んでくれた。
当たり前だけど、清水は煙草を吸わないからパパのコートとは違う匂いがして、何故だかどきりとした。
無理するからですよ、とか。
勝手なことするから、なんて説教されるのかとびくびくしていたけれど、彼は何も言わなかった。
「まだ、寒い?」
大丈夫、と言おうとしたのに。
返事なんて聞かずにその腕に抱きしめられた。
さっきとは全然違う抱き寄せられ方に、また、心臓がどきりと跳ねる。
「お願いだから、無理、しないでくださいね」
耳元に注がれた声が存外に優しかったので、言い訳する気も起きなくて。
こくりと頷いてみたが、それだけで喉に不自然な痛みを感じた。
そういえば、世界がゆっくり回っているような気までしてきた。
地球が回ってるのは知ってるけど、世界って……回ってたっけ?
そう思う間もなく、わたしは、清水の腕の中で気を失ってしまっていた。
寒くない?」
もうすぐお邸に着くという直前、耐えきれず乾いた雰囲気を破って口を開いた。
「いいえ……私は平気ですけど」
そう言って、隣に座る彼は躊躇いなくわたしの額に手を伸ばしてきた。
「風邪、ですか?」
さっきまで怒っていたのが嘘みたいに優しい声でそういうと、脱いでいた自分のコートでふわりとわたしを包(くる)んでくれた。
当たり前だけど、清水は煙草を吸わないからパパのコートとは違う匂いがして、何故だかどきりとした。
無理するからですよ、とか。
勝手なことするから、なんて説教されるのかとびくびくしていたけれど、彼は何も言わなかった。
「まだ、寒い?」
大丈夫、と言おうとしたのに。
返事なんて聞かずにその腕に抱きしめられた。
さっきとは全然違う抱き寄せられ方に、また、心臓がどきりと跳ねる。
「お願いだから、無理、しないでくださいね」
耳元に注がれた声が存外に優しかったので、言い訳する気も起きなくて。
こくりと頷いてみたが、それだけで喉に不自然な痛みを感じた。
そういえば、世界がゆっくり回っているような気までしてきた。
地球が回ってるのは知ってるけど、世界って……回ってたっけ?
そう思う間もなく、わたしは、清水の腕の中で気を失ってしまっていた。