だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)
次に目が覚めたとき、自分のベッドの中に居た。

誰がわたしをパジャマに着替えさせてくれたのか、については考えないことに決めて、身体を起こす。

わたしの手を握ったまま伏せるように傍で寝ていたパパが、瞳を開けてふわりと微笑んだ。

「気がついた?」

「うん、あの。
……ごめんなさい」

パパはきょとんと目を丸くして、ぐしゃりと髪をなでる。

「風邪を引いたくらいで、怒らないよ?」

「風邪?」

「そう。疲れが出たんじゃない?
明日、明後日は土日だからゆっくり休んで。
その後、パパ少しお仕事に戻ろうと思うんだけど、いいかな?」

こくり、と頷いた。
パパがわたしに許可を求めるなんて、なかったことなんでどうしたら良いのか正直よく分からない。

「葛湯作ってきてあげるから、待ってて」

「ねぇ、パパ。
お兄ちゃんに試験頑張ってって、伝えてくれる?」

風邪をうつしたら悪いので、逢おうとは思わなかった。

「了解」

「後、後ね。
清水にごめんなさい、ありがとうって」

「いいよ。
で、いつになったらパパに、愛してるって言ってくれるのかな?」

……そういう風に言わなきゃちゃんと、感謝してるのに。

「……看病してくれてありがとう、パパっ」

あまりにも照れくさいので、視線を外して早口で、でも心はこめて言ってみた。

本当にああやって陽気に投げキッスをしてくる人と同じDNAがわたしにもあるのか、時折、疑問を覚えてしまうのです……。
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