だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)
「熱、まだ下がってないんじゃないですか?」

心配そうに言って、人の額に無遠慮に手を伸ばす。

「ほら、まだ熱い」

なぁんて、眉間に皺寄せてるけど、多分それは風邪のせいじゃなくて、あなたのせいです!

……なんて言えるわけもなく、プイッと視線を反らしてしまう。


ああ、今のわたし。
可愛げの欠片もないわよね?


「もう怒ってないから、そんなにしょげないで」

大きな手が、宥めるように幾度も頭を撫でる。

頭なんて、撫でられ慣れているはずなのに、何故か心拍数が急上昇してしまい、ますます顔があげられなくて、俯いてしまう。
気付けば、熊のぬいぐるみを腕にぎゅっと抱き寄せていた。

「風邪が治ったら、一緒に人捜しに行ってあげますから、ね?」

いい子にしてたらお菓子を買ってあげる、なんて甘言を切り出す親のような取引まで持ち出されて、わたしは仕方なくこくりと頷いた。


あの子たち、今どうしているかしら?
忘れていた不安が胸に蘇ってきて、心が心配でパンパンになる。

空気を入れ過ぎて、今にも破裂しそうな風船みたいに危険な状態。
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