だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)
「いえ。横になってゆっくりお休み下さいね」

なんでだろう。
同じ台詞、パパに言われても絶対に心臓がキュンってなったりはしないのに。

不思議だわ。
でも、赤面を誤魔化すべく、早々に横になる。

深夜なのに、清水こそ寝なくて大丈夫なのかしら?
そう思って覗き見るのに、彼は優しい笑顔をその口許に携えてわたしを見ているだけだ。

えーん。
人間の心拍数ってどこまでの上昇だったら耐えられるのか、何かの授業で教えてくれればいいのに。

わたしはそう思ってそっと、掛け布団にもぐりこんだ。
目から上だけ、出して。

「お待たせ、都ちゃん☆」

入り口の方から、陽気な声が聞こえてきた。

「……おや、寝ちゃった?」

「いえ、まだですけど」

わたしの代わりに答えてくれるのは、清水だ。

「あら?まだ居たの、ヒデさん。
いけない人だなぁ。レディの寝室に居座るなんて」

パパの冗談交じりの口調に、清水は呆れたように片眉を上げた。

「うちのお姫様を汚さないでよ?」

「あ、当たり前じゃないですかっ。何を考えているんですか?」

その声は間違いなく呆れていた。
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