だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)
お兄ちゃんは一瞬息を呑んだけど。
直後、ふわりと綿菓子を一口食べた後のような儚く甘い笑いを浮かべた。

「じゃあ、お兄ちゃんが良いって言ったら、良いわけだ?」

ズルい。
子供と同じレベルで喧嘩なんてしてあげないよっていう。
大人の余裕を携えた発言に、ぷくぅと頬を膨らませる。

しかも。
唐突に拒否しないように、頬に当てていた手でそおっとわたしの唇を撫でて行くのなんて、もう、ルール違反も甚だしいと思うわけ。

どーせ。
都はされるがまましか出来ないチビッコですよーだ。

いいもん。
大人になったら、峰不二子さんみたいなダイナマイトバディになって、そこらへんの男どもなんて全員見下してやるんだからっ!

はっ。
こんな思考そのものが、子供っぽいのかしら……。

ぐるぐるぐるぐる。
答えにはほど遠そうな思考が、出口もなく頭の中を巡っていく。

このままじゃ、溶けてバターになっちゃうわ。
あら、わたしの頭の中のバターとお兄ちゃんの甘い言葉をぐるぐる混ぜれば美味しいお菓子が出来るかしら。
なんて、変なことまで考え出しちゃう始末。
熱のせい、よね?きっと。

なんとかしなきゃ。

意識が闇に飲み込まれてしまうじゃない。
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