だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)
わたしは眠たい頭を横に振って、強引に起こす。
お兄ちゃんは困った顔で、頭を撫でた。
……違うっ
心の中で何かがざらつく。
違うの。
清水に撫でて貰ったのとは、全然違うのっ
どうしてかしら。
清水なんてもう、ここに居ないのに。
ほとんど、身体を密着させるほど近くにお兄ちゃんが居るだけなのに。
わたしの頭はさっきから、幻の清水ばっかり追っている。
目を閉じれば瞼の裏に、柔らかい表情で文庫本に目を落としている清水の姿が浮かぶし、耳の中にはまだ、彼の声が残っているような気さえする。
「ねぇ、お兄ちゃん。
わたし――」
なんですか、と。
鳶色の瞳で包み込まれるように見つめられると、途端に言葉が消えてしまう。
スポンジに水を浸したみたいに、綺麗さっぱりと。
どうしてかしら。
今ここで、お兄ちゃんに向かって「清水に傍に居て欲しいの――」と、口にしてはいけないと、頭の中で警報が鳴り響くの。
「ううん。
なんでもない。
わたし、風邪みたい」
そうよ。
この変な気持ち、きっと熱のせいだわ。
お兄ちゃんは困った顔で、頭を撫でた。
……違うっ
心の中で何かがざらつく。
違うの。
清水に撫でて貰ったのとは、全然違うのっ
どうしてかしら。
清水なんてもう、ここに居ないのに。
ほとんど、身体を密着させるほど近くにお兄ちゃんが居るだけなのに。
わたしの頭はさっきから、幻の清水ばっかり追っている。
目を閉じれば瞼の裏に、柔らかい表情で文庫本に目を落としている清水の姿が浮かぶし、耳の中にはまだ、彼の声が残っているような気さえする。
「ねぇ、お兄ちゃん。
わたし――」
なんですか、と。
鳶色の瞳で包み込まれるように見つめられると、途端に言葉が消えてしまう。
スポンジに水を浸したみたいに、綺麗さっぱりと。
どうしてかしら。
今ここで、お兄ちゃんに向かって「清水に傍に居て欲しいの――」と、口にしてはいけないと、頭の中で警報が鳴り響くの。
「ううん。
なんでもない。
わたし、風邪みたい」
そうよ。
この変な気持ち、きっと熱のせいだわ。