だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)
コンコン

軽いノックに、都さんの指を耳から外して身体を起こす。
もちろん、その音だけでそれが清水のものであると分かった。

「今行く」

自分の声が存外に低くて、どきりとした。

「お休みのところすみません」

俺が後手に扉を閉めるのを見届けてから、清水が言う。

「何?」

「小川さんから連絡が。緊急のようで」

「……小川?」

都さんの部屋に入る前に、携帯を清水に預けておいたのだ。
準備が良い事に、清水は既に俺のスーツも手にしている。
差し出されたそれ掴む。

「はぁはぁ」

いたずら電話かと思うような荒い呼吸。

「ヤバいっすよ。
引いたほうが……。
俺、しばらく連絡しないんで。
探さないで……うっ」

酷く緊迫した様子で電話が切れた。

俺は電話が終わる頃にはもう着替え終えていた。
清水が渡してくれるがままに、白いスーツの上にコートを羽織る。

外では赤城が車を回してくれていた。
それに乗って、深夜の街へと出かけていく。

座席の下から引っ張り出した冷たい拳銃を手に取った。
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