だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)
「都さん。朝食はもうお済みですか?」

今までのやり取りなんて見てなかったかのような口調でお兄ちゃんが問う。

「ううん、まだ」

「じゃあ、一緒にどう?」

「そうする。
お兄ちゃん、昨夜わたしが目を覚ましたときには居なかったわ。
お部屋に戻っちゃったの?」

わたしの質問にお兄ちゃんの瞳がふわりと和らいだ。
そしてすごく傍まで近寄ってきて、頬に手が伸びてくる。

「おにい……?」

「淋しい想いをさせてしまいましたね。
すみません」

「じゃあ、また一緒に寝てもいい?」

うっかりそうねだった直後、言うんじゃなかった、と苦い思いが胸に満ちる。

だって、お兄ちゃんは困ったような微笑を浮かべたんだもの。

「やっぱりいい。
一度駄目って言ったんだから、もう駄目よね」

「出来る限り都さんが寝付くまで、ベッドサイドに居てあげる」

白スーツに似つかわない甘い声が、わたしの脳漿を溶かしていく。

だから良いよね、と。
顎を持ち上げて唇にキスを落とされた。

えーっと。
たまたまそこに居る白井がぎょっとした眼差しをこちらに向けているんですけど。

そして、何よりも。
僅かに離れたところに居た清水が、子供のままごとでも見るような微笑ましい眼差しをこちらに向けていたことに、一抹の淋しさを覚えてしまった。

――お兄ちゃんの、馬鹿ぁっ

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