だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)
「分かったわよ!
じゃあ、片付けはしないしお洋服も着替えるから、あっちに行って」

「淋しいこと仰いますねぇ、都さんは」

言いながらもお兄ちゃんが立ち上がる。
それから、くるりとわたしを見て真面目な顔で言った。

「私の友人なんですけど、先日都さんが迷子になられた路地あたりで発見されました。これがどういうことか、お分かりですよね?」

唐突な話に、わたしは息を飲む。

「いいですか?
あのあたりは危険なんです。
今後一人でそこに行ってはいけません」

「はぁい」

わたしは小さく返事をしたけれど、正直お兄ちゃんの言葉なんて耳に入ってなかった。

……あの子達、大丈夫かしら。

頭の中はそれでいっぱい。


それなのに。
わたしはそれから金曜日まで、一歩もお邸から出してもらえなかったの。

風邪なんかとっくに治ってるのに、パパがインフルエンザになったなんていう嘘の診断書まで作って学校に提出したのよ?


ああ、もうこれだから大人って大っ嫌い!

やっぱりわたし、今すぐ大人になって自由に動き回りたいっ。
大人の階段、3段抜きで駆け上がりたいわ。
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