だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)
24.倉庫の中で目が覚めて
◇都side◇
「八色都っ」
囁くような声で、目が開いた。
薄暗く埃っぽい、コンクリートの上に縛られたまま座らされていた。
潮騒の匂い。
じめっとした空気。
少しの間じっとしていると、夜目が利いてくる。
すぐ隣に不安そうな目をしてこちらを見ている谷田陸が居た。
もちろん、彼が夜目など利くはずもないだろうから、どうしてこちらを見ているのか少し不思議だった。
見回す限り、見張りはいないようだ。
「谷田陸」
気づいたことを示すため、囁くように名前を呼ぶ。
「……俺たち、殺されちゃうのかな」
泣きそうな、声。
不安で胸が潰れそうなんだろうなと思うと、なんだか釣られてしまいそうになる。
「……どうなんだろうね……」
まさか、ここで。
ヤクザが助けてくれるから大丈夫だよ、なんて非常識なことを言い出すわけにもいかないわたしは、調子を合わせる。
それに、絶対本当にお兄ちゃんたちが来てくれる保証なんてないもの。
――どうすればいいのか。
わたしはゆっくりと荒縄に縛られた手首を動かしながら考えを巡らせる。
「八色都っ」
囁くような声で、目が開いた。
薄暗く埃っぽい、コンクリートの上に縛られたまま座らされていた。
潮騒の匂い。
じめっとした空気。
少しの間じっとしていると、夜目が利いてくる。
すぐ隣に不安そうな目をしてこちらを見ている谷田陸が居た。
もちろん、彼が夜目など利くはずもないだろうから、どうしてこちらを見ているのか少し不思議だった。
見回す限り、見張りはいないようだ。
「谷田陸」
気づいたことを示すため、囁くように名前を呼ぶ。
「……俺たち、殺されちゃうのかな」
泣きそうな、声。
不安で胸が潰れそうなんだろうなと思うと、なんだか釣られてしまいそうになる。
「……どうなんだろうね……」
まさか、ここで。
ヤクザが助けてくれるから大丈夫だよ、なんて非常識なことを言い出すわけにもいかないわたしは、調子を合わせる。
それに、絶対本当にお兄ちゃんたちが来てくれる保証なんてないもの。
――どうすればいいのか。
わたしはゆっくりと荒縄に縛られた手首を動かしながら考えを巡らせる。