だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)
がらりと、重々しい音がしてドアが開いた。
デカイ男に連れられてきたのは、あのチビッコ二人組。
後ろに、キツネ目の男が一人、従順に侍(はべ)っていた。
「うわぁああああっ」
痛々しい悲鳴が空気をつんざいた。
わたしは耐え切れず瞳を開ける。
酷く殴られた後がある二人が、コンクリートの床に乱暴に投げ出される。
ゲホっと少女が吐いたのは胃液ではなく血液だった。
少年は、うつろな瞳で倒れこんでいる。
わたしは思わず顔を背ける。
「おや、お嬢ちゃん、お目覚めかい?」
わたしを見て、ぞっとするような笑みをその唇に浮かべたのは。
いつか、お兄ちゃんが似顔絵を見せてくれた、プロレスラーを思わせるようなこわもての、若い男だった。
鷲鼻がとても印象的で、四角い顔。
『絶対に逃げてください、分かりました?』
確か、あの時お兄ちゃんはそう言ってくれたはず。
でもね?
逃げられないの。
どうしたら、いい?
そいつ猫なで声を出し、こちらに一歩ずつ近づいてきた。
「勝手に逃げ出す動物にはお仕置きだけどさ。
他人のペットに勝手に餌をやるヤツも同罪だよね~?」
語尾に音符マークでもついていそうな、軽い調子でソイツが言う。
悪魔が近づく足音が聞こえる。
わたしは覚悟を決めて、唇を噛む。
出来ることを精一杯やる、それしかないんだもん、仕方ないわ。
デカイ男に連れられてきたのは、あのチビッコ二人組。
後ろに、キツネ目の男が一人、従順に侍(はべ)っていた。
「うわぁああああっ」
痛々しい悲鳴が空気をつんざいた。
わたしは耐え切れず瞳を開ける。
酷く殴られた後がある二人が、コンクリートの床に乱暴に投げ出される。
ゲホっと少女が吐いたのは胃液ではなく血液だった。
少年は、うつろな瞳で倒れこんでいる。
わたしは思わず顔を背ける。
「おや、お嬢ちゃん、お目覚めかい?」
わたしを見て、ぞっとするような笑みをその唇に浮かべたのは。
いつか、お兄ちゃんが似顔絵を見せてくれた、プロレスラーを思わせるようなこわもての、若い男だった。
鷲鼻がとても印象的で、四角い顔。
『絶対に逃げてください、分かりました?』
確か、あの時お兄ちゃんはそう言ってくれたはず。
でもね?
逃げられないの。
どうしたら、いい?
そいつ猫なで声を出し、こちらに一歩ずつ近づいてきた。
「勝手に逃げ出す動物にはお仕置きだけどさ。
他人のペットに勝手に餌をやるヤツも同罪だよね~?」
語尾に音符マークでもついていそうな、軽い調子でソイツが言う。
悪魔が近づく足音が聞こえる。
わたしは覚悟を決めて、唇を噛む。
出来ることを精一杯やる、それしかないんだもん、仕方ないわ。