だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)
「パパが持っておいて?
わたしはしばらく必要ないから」

「そう?じゃあ、パパは遅い冬休みでまだしばらくこのお邸に居るから、明日にでも好きなだけお金を下ろしておいて。
その後でカードを預かっておこう」

「うん」

わたしは頷いて、その、小学生には大金過ぎる(っていうか、普通のサラリーマンの年収を遥かに上回っている)金額が入っている通帳とカードを丁寧に受け取った。

そして、こちらは文具店でも見たことがあるその犬のキャラクターが付いている筆箱やシャーペンのセットを貰う。

本当に、可愛い。
見ているだけで目尻が下がる。……そんなわたしを見ているパパもやっぱり笑顔だ。

ふふふ。
幸せっ

……って、どうせ単純ですよ~だっ。


そのとき、コンコンと、丁寧に部屋のドアがノックされた。

「ど~ぞ」

砕けた調子でパパが言う。

ドアを開けた瞬間に、甘い香りが鼻をくすぐる。

大好きな、スイスミスのマシュマロ入りココアまでもが、あの犬のキャラクターのマスコットが描かれたマグカップに入ってやってきた。

< 20 / 253 >

この作品をシェア

pagetop