だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)
だーかーら。

どうすれば通じるのかしら?

「違うの。そういうんじゃなくって。
すごく、好きなの。
本気で好きなの。

ねぇ、なんていったら分かってくれる?」

最後には泣き出しそうになって、思わず懇願してしまう。
清水は、教室で見せるのとはまた違う、柔らかい笑みをその唇に浮かべた。

そうして、穏やかな色を瞳に湛えて優しく言う。

「それはね、都さん。
残念だけど、勘違いだと思いますよ」

「……勘違い?」

驚いて、首を傾げる。
清水は、不意にどきりとするような笑いを浮かべた。

そう。パパが女性に見せるような、色っぽいとしか表現できないような笑顔を。

「それとも、次期総長がするみたいに、ここでキスしてほしいの?」

どこかに、丁寧な言葉を置き忘れたかのように。
唐突に低く囁くような声で清水がそう言う。

……ドキリ、と。
  3オクターブくらい、心臓が高い音で鳴る。

清水の指がそっとわたしの顎に触れ、顔の角度をあげていく。

えっと。
そんなことありえないと思っていただけに、心臓が高鳴るどころか、身体中が心臓になったみたいに高鳴っている。

やっ……。
清水の綺麗な顔が、ゆっくりわたしの方に傾けられてくる。

どどどどど、どうしようっ。
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