だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)
「え、このマグも?」

「そう、このマグも。ちゃんと都ちゃんのものだって話してあるから。使ってね」

わたしの驚く顔を見て、パパは本当にご満悦なご様子。

持ってきてくれたのは、何故か清水。

……これって、絶対清水の仕事じゃないよね?

「ありがとう」

「熱いですから気をつけてくださいね」

ついでに、パパにはお酒を持ってきてくれる辺り、本当に出来た人だと思う。
部屋を出て行こうとする清水を呼び止めたのは、わたし。
だって、パパと二人きりで居るより気まずくないと思って。

それに、この無駄に広い部屋にはちゃんとふかっとした椅子が五つもあるし。
ねぇ?

「聞きましたよ、都さん」

う、なんですかパパ。その、とってつけたような丁寧な口調。
まぁ、でも黙っていても仕方がないわよね。
それに、こんなに一杯プレゼントを貰ったら、口が緩むのも当然って話もあるわけで。

……どーせわたしは子供ですよぉ!

それから、両手を広げてぎゅうっとわたしを抱きしめる。

「ちょ、パパっ」

わたしは慌てて身をよじるが、大人の力に敵うわけもない。

「そんなに淋しかったらパパが添い寝してあげるのに」

「……それは犯罪って清水も言ってなかった?」

「聞いてませんねぇ」

パパは、涼しい声でそらとぼけている。
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