だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)
「仲良くしてやってね」

電話越しの声。
わたしは、ぶちっと電話を切る。

「いやよっ」

パパの目の前で仁王立ちだ。
パパは仕方ないな、と言った雰囲気で電話を閉じた。

「どうして?
都ちゃんは、清水のことが好きでしょう?」

……パパ?

わたしは絶句する。

『都ちゃんって、チョコレート好きでしょう?』って言うのと同じテンションで、それを言うのはどうかと思うんですけど。

「ど、どうして知ってるの?」

頬の紅さを隠すことも出来ず、問いただすほかない。

「一目見れば分かります。
いいじゃない、後2ヶ月なんだし。
得体の知れない教師に怯えるより、ずっと楽しいでしょう?」

「あのね。
わたしが清水と仲良くできるはずないじゃないっ。
嫌なのよ。
……また、相合傘とか書かれるの」

最後は、小声でそう付け加える。
パパはふわりと笑うと、わたしの頭をくしゃりと撫でた。

「都ちゃんは美人なんだから。
そうやって、皆からやっかまれて普通、くらいに思ってないと」

慰めているのかしら。
それとも、からかっているのかしら。

正体不明の笑顔の奥にあるパパの真意なんて、全く分からない。
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