だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)
28.幻のあの人を想う
しばらくの間、学校生活は平穏だった。
清水は距離のとり方を弁えてくれたし、女の子たちはバレンタインデーを前に話題には事欠かなかった。
家に帰れば、クリスティーナとシンが遊んでくれたし、二人の回復を途中まで見届けたパパがふらりと居なくなったのも、それはいつものことだった。
清水が家に居る時間が短くなった分、お兄ちゃんが毎日のように遊んでくれたし、私の元には中学の合格通知がやってきた。
カレンダーはあっという間に2月になる。
2月の最初の日曜日。
クリスティーナとシンの様子を見るために帰って来たパパを連れて、デパートにお買い物に行った。
「チョコレート売り場って女の子がたくさん居て、幸せだよね」
そうね。
そして、そのチョコレートに夢中なはずの女性たちの視線をかっぱらうのはパパの特技だわ。
「パパ、やっぱりここは嫌っ」
女性の一人とアイコンタクトを取り始めたパパの手を掴み、地下の食料品売り場へと急ぐ。
「ほら。
手作りチョコがいいわ。
苺にチョコレートをまぶしたりするの、ね?」
「それは、今日作るのは早いんじゃない?」
「とりあえず、練習よ、練習っ」
「なるほどねぇ。いいよ、好きなだけ買っちゃえば。
失敗したってうちのヤツが食べてくれるって」
「もぉ〜、どうして失敗すること前提なのよ!」
唇を尖らせるわたしにパパは悪気の無い笑顔を浮かべて、くしゃりとわたしの頭を撫でた。
清水は距離のとり方を弁えてくれたし、女の子たちはバレンタインデーを前に話題には事欠かなかった。
家に帰れば、クリスティーナとシンが遊んでくれたし、二人の回復を途中まで見届けたパパがふらりと居なくなったのも、それはいつものことだった。
清水が家に居る時間が短くなった分、お兄ちゃんが毎日のように遊んでくれたし、私の元には中学の合格通知がやってきた。
カレンダーはあっという間に2月になる。
2月の最初の日曜日。
クリスティーナとシンの様子を見るために帰って来たパパを連れて、デパートにお買い物に行った。
「チョコレート売り場って女の子がたくさん居て、幸せだよね」
そうね。
そして、そのチョコレートに夢中なはずの女性たちの視線をかっぱらうのはパパの特技だわ。
「パパ、やっぱりここは嫌っ」
女性の一人とアイコンタクトを取り始めたパパの手を掴み、地下の食料品売り場へと急ぐ。
「ほら。
手作りチョコがいいわ。
苺にチョコレートをまぶしたりするの、ね?」
「それは、今日作るのは早いんじゃない?」
「とりあえず、練習よ、練習っ」
「なるほどねぇ。いいよ、好きなだけ買っちゃえば。
失敗したってうちのヤツが食べてくれるって」
「もぉ〜、どうして失敗すること前提なのよ!」
唇を尖らせるわたしにパパは悪気の無い笑顔を浮かべて、くしゃりとわたしの頭を撫でた。