だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)
それから、ぐしゃぐしゃと猫の頭でも撫でるかのように人の頭を撫で付けて、ようやく解放してくれた。

わたしは、だいぶ冷めてきたココアのカップに手を伸ばす。

「お兄ちゃんって、つまり、私のこと嫌いになったってことでしょう?」

そう口にするだけで泣きたくなっちゃう。

「都ちゃん、それは違うよ。
都ちゃんの身体がだんだん丸みを帯びてきたから、こう。
一緒に寝ていると大雅くんも堪えきれないものが溢れてくるって言うか、ねぇ?
そういう男の困惑、わかってやってくれないかなぁ」

ほら、これこれ。
男同士ってすぐに庇いあうって何かの漫画に書いてあったわ。

わたし、騙されないんだから。

だいたい、パパが言っている意味もよく分からないし。

っていうか、既に隣で清水が若干困惑しているようにも見えるし?

「わかんないわよっ」

わたしは啖呵を切って立ち上がる。
パパは、口許にキラースマイルを携えてウィスキーの入ったグラスを持つ。

カラカラという氷の音が、場違いに優しい音を立てた。

「まぁまぁ、そう怒らないの。
喜怒哀楽に任せて解決する問題なんて、滅多にないもんだよ。
都ちゃんはどうしたいの?
なんか、最近組のものにやたらと声を掛けているって噂も聞いたけど。
良い物件は見つかった?」
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