だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)
「それはね、谷田陸だよ。
チョコレートあげるって決めたし。
あ、チョコレートの試作品、作ったんだった。
もう、固まった?」

すっかり目が覚めてしまったのか、いつもの調子で、じゃれつく子犬のように都さんが聞いてくる。

「どうでしょう?」

「夕食前に食べたら、パパ、怒るかしら?」

「まさか」

言い終えた頃には、都さんはベッドから飛び降りて俺の手を掴んでいた。


引きずられるように、キッチンへと戻る。
冷蔵庫から取り出したチョコレートをかけた苺。


本当のバレンタインデーより、一週間以上早く口にしたそれは。


都さんの本当の気持ちを表しているかのように、未成熟な甘さに満ちていた。
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