だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)
「都ちゃん。
世の中には確かにノウハウが溢れている。
人の殺し方だって、密輸の仕方だって、違法パスポートの取り方だって、ノウハウ通りにやれば警察に捕まらずにうまく出来るよ。
でも、恋の仕方はノウハウなんてないんだから、人に相談するのはよくないんじゃないかなぁ。
こう、自然に人を好きっていう気持ちが湧き上がってくる、それこそが恋というものなんだよ、お分かり?」

……清水に聞いたっていうのに、パパが急にべらべらと喋りだすからわたしは話を聞き流して眉を潜めた。

だいたい、なんだか発言の途中に恋愛には無関係の物騒な発言が入ってなかったかしら?
まぁ、聞き流したからどうでもいいんだけどさぁ。

「もう、パパは年中恋してるんだから、参考になる意見が聞けるわけないでしょう!
わたしは、清水に聞いてるの。
ちょっと、黙ってて!」

「……清水ぅ。
こんなに可愛がってるのに、愛娘に睨まれたぁ~。
もう、パパがっかりっ」

と、冗談なのか本気なのか、それとも酔いでも回ってきたのか。パパがクダを巻くと、テーブルに腕を乗せそこに頭を載せた。

……ま、まぁ、黙ってくれたからよしとしましょう。

「で、どんな感じで好きになったの、ねぇ、それ、いつ?」

わたしはパパの存在と発言を一切無視して、清水に目を向けた。
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