だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)
「結論が出たら、教えてくださいね」

頭を下げて、下がっていく清水の背中を見送った。

「都さん、風邪引きますよ」

立ち尽くしているわたしの肩をお兄ちゃんが抱き寄せる。
そうして、強引に椅子に座らせ、髪を乾かしてくれた。

鏡越しに目があって、ドキッとする。
ふわりとお兄ちゃんが微笑んだ。

「都さん、私のこと好きだって仰いましたよね」

「そ、そうだけど」

正面きって確認されると、照れるわね。
わたしは思わず視線を下げる。

ぽんと、大きな手のひらがわたしの頭を撫でた。

「きっと、皆、都さんが綺麗だから心配なんですよ。
自分の好きな人を浚っていかないかって」

「いかないわよ」

「今日、谷田陸にチョコレート渡せました?」

ううん、と。
首を横に振る。

「渡そうと思ったら、泣いている音葉ちゃんがやってきたの」

思い出すだけで、胸が張り裂けそうになる。

ぎゅうと、背中からお兄ちゃんがわたしを抱きしめた。
どきん、と。心臓が跳ねる。
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