だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)
31.だって好きなんだもん!
――翌朝。

苺ジャムがあるからという理由で、わたしは珍しくパンを齧っていた。
傍らに置かれたミルクティーは清水がいれてくれたもの。

朝から優しいのだけれど、向かいの席でお兄ちゃんと話をしていた。

「本気ですか?」

「ええ、うちの組のものはいないんですよね?」

「それはそうですが」

「だったら、問題はない。
それに、二度とああいう目に合うことはなくなるでしょう?」

「効果的だと思いますけど」

疑問形を取りながらも強気の口調を崩さないお兄ちゃんに対して、清水は若干戸惑っている。

「都ちゃん、そんなにパンを傾けたらジャムが落ちるよ?」

思わずその会話に聞き耳を立てていたわたしに、新聞を眺めていたはずのパパが声を掛けてきた。
わたしは慌てて食パンの角度を保つ。

「紫馬の頭はどう思います?」

清水が困った表情を崩さず、パパに声を掛ける。

「斬新。俺なら絶対に風紀を乱すけど、大雅くんなら大丈夫でしょ?」

……何の話かしら。

時折、会話の途中でわたしに視線が飛んでくるってことは、わたし絡みの話なのよね?



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