だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)
「ああ、青山。これを持って行ってくれないか?」

職員室に行くと、早速書類の束を青山くんが押し付けられていた。

クラス委員は雑用係とは違うんですけど。

と、ドラマで見るお局様と呼ばれるOLを装って言ってみようかと思ったけれど、当の青山くんが文句一つ言わずに書類の山を抱えていたので、ぐっと言葉を飲み込んだ。

「わたしは?」

指示がないので、聞いてみる。

「ちょっと教えて欲しいことがあるんだ」

青山くんが職員室を出た後で、東野先生がにこりと甘いマスクを崩す。

でも、わたしにしてみたらこんなアイドルっぽい笑顔を見てもどうにも心が動かない。

だって、パパも清水も、綺麗な顔をしている上になんていうかこう、凄みというか色気というか……。
そういう顔を見慣れているもので。

って。
わたしの状態の方が、ずっと問題あるんじゃないかしら?

駄目駄目。
こんなことだから恋が降ってこないんだわ。

ただのアイドル上等じゃない♪

自分に懸命に言い聞かせてみる。

「何でしょうか?」

そして、クラス委員が先生と喋るとき!というインデックスを自分の頭のなかから引っ張り出してきて、それに従って唇を動かした。
< 35 / 253 >

この作品をシェア

pagetop