だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)
わたしって、何て情報通なのかしら。
ぽんぽんと言葉が出ることに我ながら驚いた。

にこり、と。
東野先生が甘い笑みを零す。

「本当、弥生先生の言うとおりだな。
八色はみんなのことをよく観察しているって」

「そうですね。
六年間もクラス委員をやっていたら、自然、そういう目が養われるのかもしれませんね」

わたしは小生意気な優等生を気取って発言してみた。

「助かったよ、また、他の人のことも教えてくれ」

「分かりましたっ」

わたしは先生の机の上の別の書類を持って、教室へと向かった。


相変わらず、教室からは騒々しい声が響いている。

無邪気でいいなと思ってしまうわたしは。もう、とっくに無邪気の仮面が磨り減ってしまった、残念な大人なのかもしれないわね。

あー、もう。
二度と大人のはしごなんてのぼってなんてやるもんか!

そんな決意を噛み締めながら、がらりと教室のドアを開けた。
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