だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)
出会った時からずっと『清水』って呼んでたもんだから、なんら違和感を感じなかったんだけど。

「そ、そっかぁ……」

駄目だったのかしら?
嫌だわ、うちにはわたしの駄目さを指摘してくれる大人が存在しないから。

あまりにも斬新な指摘を受けたわたしは、言葉を二度繰り返してしまった。
だって、あまりにも大人な意見だったんだもん。

「谷田だったら何て呼ぶ?」

「やっぱり、さん付けとかじゃないの?」

「清水さん、かぁ。
慣れないけど、頑張ってみる」

「うん、そうしな。そっちの方が断然良いって」

谷田陸が、子供らしい無邪気な笑顔を覗かせた。
それが、ものすごく眩しく見えたのは、その向こうにある太陽のせいだったのかしら?
それとも……?


答えが見えないままに、学校に着いた。
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