だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)
相変わらず、うちの教室からは動物園かと思われるような騒々しさが響いている。
呆れ顔でわたしがドアを開けようとした瞬間。
ドアの方が勝手に開いて、青山くんが走って出てきた。
「青山、くん?」
その瞳は潤んでいるようにも見えたし、頬は朱に染まっている。
青山くんは立ち止まることもなく、ランドセルを抱えて階段の方に走っていった。
……な、に?
教室に足を踏み込んで、わたしは言葉を失った。
黒板にでかでかと書いてある相合傘。
しかも、二つ。
一つには、青山くんと、私の名前。
そうして。
もう一つには、谷田陸と、私の名前。
その傘の柄の部分がややこしく交差して書いてあって、そこに矢印が引いてあった。
その矢印を辿れば
『本命はどっち?』とか『魔性の女現る』なんて、どこぞの女性週刊誌から拾ってきたような低俗な文字が躍っていた。
筆跡を誤魔化すためか、わざと汚く書いてあるのが小ざかしく思える。
「おー、噂の女じゃん」
クラスメイトの一人が楽しそうに囃し立てた。
「ひゅうひゅう」
謎の口笛が飛ぶ。
あ、パパに謝っておかなきゃ。
いまどきの小学生も、冷やかすときに口笛吹きますよ、って。
呆れ顔でわたしがドアを開けようとした瞬間。
ドアの方が勝手に開いて、青山くんが走って出てきた。
「青山、くん?」
その瞳は潤んでいるようにも見えたし、頬は朱に染まっている。
青山くんは立ち止まることもなく、ランドセルを抱えて階段の方に走っていった。
……な、に?
教室に足を踏み込んで、わたしは言葉を失った。
黒板にでかでかと書いてある相合傘。
しかも、二つ。
一つには、青山くんと、私の名前。
そうして。
もう一つには、谷田陸と、私の名前。
その傘の柄の部分がややこしく交差して書いてあって、そこに矢印が引いてあった。
その矢印を辿れば
『本命はどっち?』とか『魔性の女現る』なんて、どこぞの女性週刊誌から拾ってきたような低俗な文字が躍っていた。
筆跡を誤魔化すためか、わざと汚く書いてあるのが小ざかしく思える。
「おー、噂の女じゃん」
クラスメイトの一人が楽しそうに囃し立てた。
「ひゅうひゅう」
謎の口笛が飛ぶ。
あ、パパに謝っておかなきゃ。
いまどきの小学生も、冷やかすときに口笛吹きますよ、って。