だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)
あったかいココアを飲んだら、ようやく気持ちが落ち着いてきた。

わたしは、あえて普段の通学路とは別の道を走ったので、繁華街の真ん中に居た。
忙しそうな大人たちは、小学生なんて気にも留めないので助かることこの上ない。

「ごめんね、谷田陸。
学校に、戻る?」

わたしは、一応聞いてみる。

「どうせ、八色都は戻る気ないんだろう?
俺だって、別にいいよ。一日くらい」

その、悪ぶりたいと思っている台詞に、噴出しそうになるのを堪えて微笑んだ。
だって、谷田はそういうキャラじゃない。

「あれだよね、皆。
ガキだよね。
相合傘なんて書いて、バカみたい。
楽しいのかな?」

わたしたちは肩を並べて、無目的に歩く。

「だよな。
あんな落書き。
何が楽しくてやるんだろうな?」

「皆、中学受験のストレスでも抱えているんじゃないの?」

谷田が目を丸くした。

「受験って、都もどっか受けるの?」

……吹きすさぶ風が、わたしの髪を揺らしていく。

しまった!
わたし、受験の話公言してないんだった。
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