だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)
おなかがいっぱいになった二人は、わたしたちを敵だとみなすのをやめてくれたみたいで、ようやくその口許を少しだけ緩めてくれた。

それだけで、ほっとする。

だけど。
その瞳は手負いの獣のように、鋭い光を放ち続けていた。

「どうしよう?
谷田陸」

「警察に連れて行く?」

う。
真っ当な意見だけど、わたし、警察はちょっと苦手なのよね。
だってほら。
やくざと警察って、水と油、猫と鼠、蛇とマングース、でしょ?

「でも、わたしたちだって学校サボってるんだよ?」

焦って出てきた言葉は、思い付きとはいいなかなかに真実を衝いているじゃありませんか。

「それもそうだな」

じゃあ、放課後になるまで遊ぶか。

と、谷田陸がにかっと笑う。

幸いにも今日も午前中で授業は終わる予定だったから、後ほんの2時間。
わたしたちは、人目につかないこの公園で滑り台やブランコを使ったり、走り回ったりして遊んだ。

ようやく、少しは二人の心がほぐれたかしらと思った頃に昼になる。

「今度こそマックね」

駅前のマクドナルドで、四人、ささやかな昼食をとることにした。
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