だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)
「八色都」
幾度が谷田に呼ばれたけれど、気づかないふりで走っていた。
そして、ついに。
後ろから、がくんとランドセルを引っ張られてわたしはバランスを崩す。
「もぉ、谷田陸、危ないじゃないっ」
息を弾ませながら、振り向きもせずにそういうと、膝に手をついて呼吸を整えた。
「いい加減、諦めろよ。
もう、とっくに見失ってるよ、俺たち」
それは、投げやりというよりむしろ慰めに近いトーンだった。
「……そうだね」
わたしは振り向きもせず、真っ黒なアスファルトを見つめてそう答えた。
何、勝手に根拠もなくあの子達を助けたら大人になれるって思い込んでいたのかな、わたし。
「ねぇ、谷田陸。ここ、どこかな」
足を止めて、ようやく我に返って。
まるで知らない路地に迷い込んでいることを、やっと自覚した。
太陽はだいぶ西に傾いている。
本当に、どれだけ集中して人探しをしていたのかしら、わたしたち。
否、
わたし。
幾度が谷田に呼ばれたけれど、気づかないふりで走っていた。
そして、ついに。
後ろから、がくんとランドセルを引っ張られてわたしはバランスを崩す。
「もぉ、谷田陸、危ないじゃないっ」
息を弾ませながら、振り向きもせずにそういうと、膝に手をついて呼吸を整えた。
「いい加減、諦めろよ。
もう、とっくに見失ってるよ、俺たち」
それは、投げやりというよりむしろ慰めに近いトーンだった。
「……そうだね」
わたしは振り向きもせず、真っ黒なアスファルトを見つめてそう答えた。
何、勝手に根拠もなくあの子達を助けたら大人になれるって思い込んでいたのかな、わたし。
「ねぇ、谷田陸。ここ、どこかな」
足を止めて、ようやく我に返って。
まるで知らない路地に迷い込んでいることを、やっと自覚した。
太陽はだいぶ西に傾いている。
本当に、どれだけ集中して人探しをしていたのかしら、わたしたち。
否、
わたし。