だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)
『お帰りなさいませ』

出てきてくれた清水を従えて、自分の部屋へと戻る。
こういうときでも、まるで表情に変化は見られない。

真似なきゃ、と。俺も気持ちを引き締める。

清水は歩きながら概要を手際よく伝えてくれる。

朝、都さんが学校から抜け出したこと。
それを追って出て行った同級生が居ること。
そして、そのまま行方が分からないということを。

『ケータイで場所は特定できたのですが』

さすが清水、仕事が速い。
都さんに持たせてあるケータイには、通常のGPS機能に加え、もっとピンポイントで場所が分かるよう特別な細工が施してある。
そして、その端末は清水が管理していた。

『知っている』

マックの店名を告げる。
情報に相違はなかったようだ。

『俺の知り合いを向かわせた。ただ、そこに都さんは居ない』

すぐにでも自分がそこへ向かいたかった。
部屋にカバンを投げて、着替えもせずに母の待つ<本部>へと向かう。

こういうとき、大きな会議室を本部として使うのが通例だった。
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