だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)
わたしが泣き止むのを辛抱強く待っていてくれたお兄ちゃんは、まるで「よく泣けました」とでも言うように、甘いキスを額に落とす。

それから、わたしの呼吸が整ったのまで確認してから、ようやく口を開いた。

「清水に何か飛びっきり美味しいものでも作ってもらいましょうか?」

「え、清水って美味しいものも作れるの?」

美味しい飲み物を入れてくれるだけだと思ってたわ。

「ええ。
料理、得意なんですよ。
知りませんでした?」

差し出されたティッシュで涙と鼻水を拭いながらふるふると首を振るわたしを楽しそうに眺め、お兄ちゃんがケータイを取り出した。

「もしもし。
今、大丈夫?
都さんに、何か……」

そこで言葉を切ってわたしを見る。

「何が食べたいですか?」

「あったかくって甘くって美味しいものがいい!」

差し出された受話器に向かって声をあげた。
さっきの嗚咽が嘘のように、滑らかに喋れることが嬉しくて、必要以上にはしゃいでしまう。

『分かりました。そちらにお持ちしましょうか?』

お兄ちゃんがわたしを見る。
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