だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)
「ダイニング!」

「……だ、そうです。
……ええ、それでは」

電話を切ると、良かったねといわんばかりにわたしの頭をくしゃりと撫でた。

それから、思い出したかのようにポケットからわたしのケータイを取り出した。

目が丸くなる。
これ、えっと。

……そっか!

「マックに落としたの」

「ええ、そうみたいですね。
明日、首から下げるケータイストラップ買ってきてあげますよ」

皮肉か親切心か、判別できない口調でお兄ちゃんが言う。

「お兄ちゃんが取ってきてくれたの?」

「知り合いが、取って来てくれました。
ねぇ、都さん。
今日、こういう男見ませんでした?」

言うと、お兄ちゃんは机の上に置いてある絵を一枚見せてくれた。

プロレスラーを思わせるようなこわもての、若い男の顔。

鷲鼻がとても印象的な、四角い顔の男だった。

わたしは記憶を辿る。

そして。
力なく首を横に振ることしか出来なかった。
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