だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)
「谷田陸」

キウイをそのまま齧ってから、お兄ちゃんが呟いた。

ぎくり、と。
わたしはクレープを頬張った後、お兄ちゃんを見る。

頬張りすぎて、りすのように頬を膨らませていたせいか、清水がそっとノンカフェインのミルクティーを渡してくれた。

「今日もご一緒だったんですよね?」

「ええ、そうよ。
今日もご一緒だったわよ」

頼んでもいないのに。
わざわざやってきた挙句、ママに頬を打たれたんだわ。

気の毒な、谷田陸。


思い出すだけで瞳が曇る。

「都さん、これも、どうです?」

清水がマシュマロにチョコレートをかけてくれた。

「私には甘すぎて食べれそうにもないですけど」

なんて苦笑しながら渡してくれる。

「えー、こんなに美味しいのに」

頭に浮かんだ映像をかき消したくて、必要以上にはしゃいでみせた。

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