制服のボタン*凜花と陵弥のバレンタイン
片思いでも。
両思いでも。
傷付かない恋愛なんかない。
傷付いて、傷付けてそして深まる気持ち。
少なくとも、私と陵弥はそうして気持ちを深めてきた。
「凜花どうした?」
陵弥の声に愛美ちゃんは。
「先輩さようなら」
って、軽く会釈をすると走って行ってしまった。
私はその背中を見送る。
「凜花…何か…」
「陵弥は愛美ちゃんと何かあったの?」
陵弥が言い終わる前に私が聞いた。
中庭での事をちゃんと話してくれたら、私の思ってる事をちゃんと話そう…
そう思って。
「あー別に何もねぇけど…」
陵弥は私が見てた事、気付いてないんだね…
陵弥が嘘をついた…
もしかしたら、優しい嘘なのかも知れない。
私が知らないままでいれるならと…
私は正直に…陵弥の口から聞きたかったな…
キスされたけどあれは事故で、何でもないよって…
私の都合のいい考えは、陵弥にはわからないよね…