制服のボタン*凜花と陵弥のバレンタイン
何事もなかった様に、私の目の前に差し出された陵弥の手。
その手を笑顔で掴む事は出来なかった。
目を伏せる私の手を陵弥が強引に掴み。
早足で歩き出す陵弥。
無言のまま…
私は小走り気味に陵弥に手を引かれ。
陵弥の部屋へ引き入れられた。
部屋に入ると。
「何怒ってんの」
って、陵弥。
「何も怒ってない。怒ってるのは陵弥じゃない?」
私が言うと。
「何で突っ掛かる」
「突っ掛かってない!」
段々、声も大きくなって。
「突っ掛かってんだろッ!」
ビクッ
陵弥の荒げた声にビクッとした。
…限界…
「…陵弥が…嘘つくから…」
陵弥の顔が変わる。
「…本当の事…言って欲しかった…」
「…お前…見てた…?」
ポツリと陵弥が言う。
ほら…やっぱり…
中庭で見たのは夢じゃない。
陵弥と愛美ちゃんがキスしたんだ…