制服のボタン*凜花と陵弥のバレンタイン
翌日。
陵弥は愛美ちゃんを中庭に呼び出して。
キッパリ断った。
泣きながら中庭から走って行く愛美ちゃんの背中を。
教室の窓越しに見ていた。
陵弥はわざと、私に見える場所に愛美ちゃんを呼び出したんだ。
「あの娘も気の毒ね…陵弥が凜花以外見えないって知らなくて。まぁよくわかったでしょ」
と、笑顔の沙織。
…それって皮肉…?
幸樹君にも謝った。
「別に気にしてないよ。陵弥に敵う訳ないし。陵弥にも謝られたし…でも陵弥が嫌になったらいつでも俺のとこに来てよね」
なんてウィンクなんかして…
私は苦笑いだよ。
そして迎えたバレンタイン。
結局私はシンプルなチョコケーキを作った。
陵弥みたいに甘くて苦い
ビター味。
陵弥と待ち合わせの下駄箱。
そこで固まる陵弥の姿。
「何よソレ…」
「…俺…断ったよ受け取れないからって」
………………。
下駄箱いっぱいのチョコレート…
下駄箱の下には紙袋。
手渡し断わってもね…