制服のボタン*凜花と陵弥のバレンタイン


「あの…これ調理実習で作ったマドレーヌなんですけど…よかったら貰って下さい…」




「…ごめんね。彼女以外からは受け取れない」



陵弥の答えは優しくも、冷たくも取れる言い方だった。


だけど。



その気のない娘に気を持たせる様な真似をしない。

それが陵弥だ。





女の子に背を向けると、私に向かって歩いて来る。




陵弥の後ろ姿を残念そうに見つめる女の子。




下唇を噛み締めて目を凝らしながら…






陵弥は私の元に来ると。



「行くぞ」



って、いつも通り。




「ぁ…ぅん…」




一瞬女の子と目が合ったけど。




女の子の方から直ぐに反らされた。






……………。



「どうした?」



「…ん…何でもなぃ…」






私は陵弥の手を取り横に並んだ。






< 8 / 24 >

この作品をシェア

pagetop