制服のボタン*凜花と陵弥のバレンタイン
「あの…これ調理実習で作ったマドレーヌなんですけど…よかったら貰って下さい…」
「…ごめんね。彼女以外からは受け取れない」
陵弥の答えは優しくも、冷たくも取れる言い方だった。
だけど。
その気のない娘に気を持たせる様な真似をしない。
それが陵弥だ。
女の子に背を向けると、私に向かって歩いて来る。
陵弥の後ろ姿を残念そうに見つめる女の子。
下唇を噛み締めて目を凝らしながら…
陵弥は私の元に来ると。
「行くぞ」
って、いつも通り。
「ぁ…ぅん…」
一瞬女の子と目が合ったけど。
女の子の方から直ぐに反らされた。
……………。
「どうした?」
「…ん…何でもなぃ…」
私は陵弥の手を取り横に並んだ。